ハリー・ディーン・スタントンis「ラッキー」

  • 2020.02.12 Wednesday
  • 11:31

 

1985年に公開されたヴィム・ヴェンダースの「パリ・テキサス」は大好きな映画です。 本編のDVDはもちろん、音楽を担当したライ・クーダーのギターも素晴らしいので、サウンドトラックのCDまで持ってます。主演はハリー・ディーン・スタントン。それほど有名な俳優ではありませんが、その味わい深い演技はとても印象的で何度も観ました。

 

そのハリー・ディーンが91才で亡くなる前年に撮られた映画「ラッキー」。 日本公開のタイミングは承知していたのですが、うっかり見逃してしまっていました。「でもまぁ、そのうちプライムビデオで観れるだろう」と気長に待っていたら、ついにアップされました。

 

アメリカ中西部に暮らすひとりの老人の日常を描いた映画です。 その老人の人生はまさしくハリー・ディーンの人生そのもの、タバコを吸い、ヨガをたしなみ、音楽やクイズ番組が好きで生涯独身の無神論者。海軍の調理兵として沖縄戦にも参加した経歴まで同じです。劇中でラッキーが出会う人やエピソードも、ハリー・ディーン自身の人生からヒントを得て書かれたとのこと。 監督を務めたジョン・キャロル・リンチ自身もハリー・ディーンの友人であり、「この映画はハリーへのラブレター」だと言い切っています。

 

監督のインタビュー、「一人の男が自分をどう見つめ、神や天国という“第二幕”といった安心材料なしで生きる姿を描きたかったんだ。ハリーの人生はまさにそうだった。」

 

ラッキーの毎日は、朝起きてから眠るまでほぼ同じルーティーン。 こまかいことにこだわりが強く、一般には”頑固者”とか”変わり者”と呼ばれるタイプの人です。 ひとが不愉快に感じるかも知れないと思いながらも、思ったことは口に出さずにはいられません。

そんな彼ですが、ダイナーのスタッフや食料品店の店員、病院の看護師、行きつけのバーの常連客など、日常触れ合う人々から何かと気にかけてもらっています。 それほどいい人と認識されているわけではありませんが、いわゆる”ほっとけない人”なのです。「ひとり暮らしと孤独はちがうよ」などとうそぶいて、自分流に生きていながら人から愛される。自分にも人さまにも常に誠実であることを周囲も理解してくれているのでしょうね。

 

そんな彼ですが、ある日自宅でめまいを起こして倒れてしまいます。その出来事以来、それまで遠ざけて過ごしてきた自らの死を意識するようになり、死や人生そのものを哲学的に考えるようになりました。

 

すっかり心細くなってしまった彼を支えてくれたのも、彼を取り巻く町の人々。いつものダイナーで出会ったある人との会話をきっかけに、どんな出来事でも微笑んで受け容れようと覚悟が決まります。

 

仕事がら、私も高齢の方たちと触れ合って30年。自分が目指すべき高齢者像がはっきり見えて来ました。 それは若い人たちに可愛がってもらえる年寄りになること。 自分も幸せにすごせるし、周りの負担も小さくなります。 もちろん、ただ若い人に媚びれば良いということではなく、彼らのチャンネルに合わせてコミュニケーションを取るという意味です。 ラッキーのように持って生まれた愛されキャラでない限り、いくら誠実を心がけても自分流ではなかなか受け容れてもらえないのが現実。老境に差しかかった今、そろそろチューニングダイヤルを回すクセをつけておかねばです。

 

 

 

 

この映画を観てハリー・ディーンがミュージシャンであったことを初めて知りました。劇中の歌やハーモニカのレベルが素人のレベルではなかったので、ネットで検索しまくりました。 シブい、シブすぎる。こんなジジイになりたい!

 

本編中のハリー・ディーンのスペイン語の歌「VOLVER, VOLVER」

 

 

オマケ。2016年に行われたハリー・ディーンのアワード・ショウにジョニデが乱入(≧▽≦)

冒頭でハリー・ディーンの肩をポンと叩いてハケる紳士は、ハリー・ディーンの友人で映画監督のデヴィッド・リンチです。

 

 

 

 

 

 

コメント
1985年公開の米国映画とそのギター音楽を追って、今日なお内なる感動を燃やし続ける院長どのの若さに羨ましさを覚えます。例によって門外漢の勝手なコメントです。監督のインタビュー 「神や天国といった、安心材料なしで生きる姿を描く・・」という方針のもと、ハリーの人生は頑固者でかつ変わり者ですが、それでいて巷の人たちから「ほっとけない」存在として容認されているとのこと。このように書いていると私の頭には男は辛いよの「寅さん」が浮かんできました。多分両者を熟知の方には、見当違いの連想と笑われることでしょうが・・。では。
  • 山野隆康
  • 2020/02/13 7:56 AM
山野さま
じつは劇中のハリー・ディーンを見ながら、山野さんに通じるものを感じていました。今なおヴァイオリンでステージに立ち続ける山野さんやハリー・ディーンの姿は、自分の将来像をイメージする上でとても貴重なお手本です。
ただ、ごめんなさい。寅さんシリーズは1本も観てないんです〜(>_<)
  • 松本
  • 2020/02/13 9:24 AM
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