映画「JOKER」を観てきました(ネタバレあり)

  • 2019.11.28 Thursday
  • 16:30

 

ずいぶんと評判が良いうえに、次男や患者さまのアメリカ人青年に強く薦められたりもしたので、ロングラン中の「JOKER」を観て来ました。

 

これでもか、というくらいの不幸を背負いこんだ主人公の「JOKER」ことアーサー。最下層の生活。そして社会への適応が難しい形質を持ちながらも、そこを言い訳にすることなくそれこそ必死で適応の努力を重ねる彼。 しかしその努力の成果が少し積み上がりそうになったところで、必ずいわゆる”ふつうの人”の心無い仕打ちがそれを意味のないものにしてしまいます。 健気にもそのたび自分を立て直そうと試みますが、ある日の仕事帰り、酒に酔った富裕層の3人組にからまれていた女性を助ける際にその3人組を殺してしまった彼。 まっとう過ぎるほどの倫理観で自身を律してきた彼は、どれほどの罪悪感に襲われるかと怯えますが、意外や何かに囚われていた自分が解放されていくように感じます。

 

彼がその事件を起こす際に身に着けていたのが、仕事着のピエロの衣装。 貧富の格差による不満が暴発寸前だったゴッサムシティでは事件をきっかけに、ピエロのメイクで破壊や略奪行為を行う暴動が拡大。 JOKERは彼らの英雄になり、それまで感じたことのない充実感に浸りながら、燃え盛る街の車のボンネットの上でいつまでも踊るのでした。

 

上記のアメリカ人青年は、「アメリカ社会に内在する問題がよく表現されていて、考えさせられた」と言っていましたが、貧富の格差、あるいはその連鎖、社会への適応が難しい人々の苦しさ。それは日本にも存在する問題です。 その階層に所属しない人のほとんどはその問題について、たいがい政治まかせになりがち。むしろあえて目を背けて過ごしているのではないでしょうか。

 

この映画を見た人がどんな評価をしているか知りたくて、映画ドットコムのレビューをのぞいてみました。

多くの人はそれぞれに作品の特異性を挙げながら、高い評価をされていました。 ただ、JOKERほどではなくても、きゅうくつな日々を送り、ちょっとした暴力衝動をため込んでいる人は、主人公に同化していっとき「ヒャッハ〜!」な気分になるようですし、苦しみの連鎖から離脱できずに苦しむ人を「努力不足」と断じる人や、障害を持つ人の苦しみを題材に映画を製作することが信じられないとか、不幸の押し売りで嫌な気分になったという人も。

 

社会への適応の難しさから心がつらくなり、それが身体の症状として発現して受診される方はとても多く、私自身もこの職業を選ばなかったとしたら、この問題にきちんと向き合うことはなかったかも知れません。

 

ともあれ、主人公を演じるホアキン・フェニックスの迫真の演技は一見の価値ありです。いや、ネタバレさせておいてこんなこと言うのもアレでしたね(^^;

 

 

 

 

 

 

 

 

コメント
不運の極みとも言える人生の只中で、不覚にも殺人犯となってしまった男性の、ピエロ姿が奇妙に、一部反社会勢力の象徴として持て囃される!というシナリオでしょうか?映画「JOKER」を見ていない私に、批評する資格が無いのは勿論ですが、現実の社会には救いようの無い矛盾した欠陥が有り、これを取り敢えず(お芝居の中だけででも)一気に暴き出し、強く問題提起をすることでの快感に、観客は酔い痴れて帰宅出来るのでしょうね(検討違いだったら御免なさい)。
  • 山野隆康
  • 2019/11/29 9:15 AM
山野さま
主人公は向精神薬を何種類も処方されており、それでも辛さが和らがないので薬の増量を希望します。しかし、福祉の質の低下ですべての薬の処方が止まったとき、精神はそれまでにない解放感を味わうのです。
福祉のせいではありませんが、最近身近なところで似たような出来事がありました。精神活動を低下させることは患者のためなのか、それとも社会へのリスクを低減させるためなのか、それは私のごときがあれこれ言うことではありませんが、、
  • 松本
  • 2019/11/29 11:30 AM
コメントする








    
この記事のトラックバックURL
トラックバック

calendar

S M T W T F S
   1234
567891011
12131415161718
19202122232425
2627282930  
<< April 2020 >>

selected entries

categories

archives

recent comment

links

profile

search this site.

others

mobile

qrcode

powered

無料ブログ作成サービス JUGEM