百年の孤独
- 2018.11.21 Wednesday
- 15:39
同名の焼酎のハナシではありません。 ずっと前から読もう読もうと思いながら、なかなか手を着けられなかったガブリエル・ガルシア=マルケスの「百年の孤独」。 やっと読了しました。
1967年に発表されるや世界中にラテンアメリカ文学ブームを巻き起こし、20世紀文学の最高傑作のひとつと言われたこの作品。 いつも次に読む本の候補には挙げつつも、自分自身のコンディションが調ったときに取っておこうと先延ばしにして来ました。
やはりすごい作品でした。和訳だと473頁。私の通常ペースなら3日もあれば読み終われるボリュームなのですが、読み進むのためにかなりのエネルギーが必要なので1日に30〜40頁が精一杯。結局2週間ちかく楽しみました。
南米の架空の街「マコンド」を開拓した一族6世代の物語。 彼らの屋敷を中心に現実と非現実が混在する不思議な世界が展開します。 読んでいる自分も19世紀〜20世紀にかけての南米、熱帯特有の熱気と狂気に近い旺盛な生命力に満ちた濃密な空気の中に身を置いた気分になって、気分は高揚するのですがちょっと息が上がる感じ(^^;
この作品を読み進むうちに、ふと既視感にとらわれました。 30年以上前に「夏の朝の成層圏」を読んで以来、長編はぜんぶ読んでいる池澤夏樹が書く小説の空気感によく似ていたのです。 読後に知ったのですが、どうやら池澤夏樹本人が、「本書を読まなければ ”マシアス・ギリの失脚” は書けなかった」と言っているくらい強い影響を受けたようです。やっぱしか〜(^^)
ほかにも、阿部公房、大江健三郎、筒井康隆、村上春樹など、ガルシア=マルケスの ”魔術的リアリズム” の影響を受けた作家はたくさんいるみたいですね。
あとがきによると、ガルシア=マルケスは本書の出版後に42の矛盾点に気づいたそうですが、あえて加筆・訂正はしなかったそうです。「なぜならそれは本書の連続性を失わせることになるから」とのこと。だいたい少々矛盾していても、もともとのハナシがぶっ飛んでいるので、細かいことはどうでもいい感じ。
奔放な性の描写や中南米特有の楽天的な死生観は刺激的。 物心つく前から社会で生きるためのがんじがらめの刷り込みを繰り返され、自分が窮屈な人生を生きていることにさえ気づけない日本人にはまぶしく映ります。 この本を読んで「いままで騙されてた!」と気づく人がいるかも知れませんヨ(≧▽≦)
お若い頃に南米の空気に触れられたとは! うらやましいです。
お仕事のみならず、芸術的な感受性にも影響を受けられたのではないでしょうか。
チェ・ゲバラが革命家になる前の医学生だった頃、オートバイで南米大陸を旅したときの映画を観て、私も自転車で走ってみたいと思いましたが、おそらく妄想のままで終わるものと、、(^^;