「いつかロロサエの森で」

  • 2018.03.13 Tuesday
  • 12:20

 

小学生の頃からおかあさんのお供で当院に来ては、待合いのベンチで漫画を読みふけっていたユウキくんも、いまや音楽療法を学ぶ音大生。 先日、打楽器の練習でバキボキに凝った肩甲間部をほぐしに来た際に一冊の本を貸してくれました。

「いつかロロサエの森で」。 報道写真記者の南風島渉という人が東ティモール独立前の7年間を現地で取材した手記です。

 

ずいぶん前にこのブログで「カンタ・ティモール」という映画のことを紹介させていただきました。 東ティモールが独立したあとの子どもたちの明るさや、25年間にわたってこの国を不法に侵略・占拠し続けたインドネシアをゆるしてしまう東ティモール人の気質の大らかさを描いた作品です。 その映画の監修を務めたのもこの南風島渉でした。

 

東ティモールは旧ポルトガル領。 おとなり同士とはいえ、旧オランダ領だったインドネシアとは400年以上にわたって言語も宗教もまったく違う過ごし方をして来たので、すっかり別の国になってしまいました。

1974年にポルトガルが植民地支配を放棄した直後にインドネシアの東ティモールへの侵攻が始まり、数年間で東ティモールでは人口の約1/3にあたる20万人が命を落としたとのこと。 この間はもちろん、その後も続いたインドネシア兵やインドネシアの支援を受けた民兵による拷問・虐殺・レイプなどはかなりひどいものだったようです。 民族浄化を目的として妊婦の腹を割き胎児を殺すなどということまでも、、

 

その後、東ティモールが独立を勝ち得るまでの25年間、独立派の兵士たちは山岳にこもってゲリラ戦で抵抗。 苦境にあっても彼らはテロ行為には走らず、インドネシア兵を捕虜にしても武装解除だけして本隊へ帰すということを繰り返しました。憎しみの連鎖は独立への道のりを困難にするという彼らの判断の正しさは、1998年のスハルト独裁終了時に新政権が急転東ティモール独立容認の立場を取ったことにも表れています。

 

 

インドネシアの不法な侵攻・占拠に対して国連はその行為を非難し、即時撤退を求める決議案を8回出しました(賛成国72、反対国10、棄権国43)。日本はそのほとんどに反対票を投じ、インドネシアに多額の援助を続けました。エネルギー源のほとんどを中東の石油に頼らざるをえない日本は、シーレーンの安全確保のため、またインドネシアからの地下資源や森林資源の安定供給のために、良好な関係を維持する必要があったのでしょう。

 

軍事はさておき、経済的には世界の中でも大きな影響力を持つ日本の国民で居る以上、その影響力がどう行使されているのかを知る義務があるのだと思います。世界情勢や政治の動向を追うことが好きな人にはあたり前のことでも、ふだんあまり政治に関心を持てない私などには、これがなかなか。 しかし25年間も虐殺を繰り返していた国を支持し、多額の援助さえ惜しまなかったと聞くとやはり無知の罪を感じずにはいられません。意識を改めねばと感じた次第です。

 

電車の中吊り広告みたいな帯のコピーが陳腐で逆効果な気が、、(>_<)

 

 

 

 

 

 

 

コメント
映画「カンタ・ティモール」を、院長どののお勧めに従って一緒に観に行ってから数年が経ちました。「憎しみの連鎖は、独立への道のりを困難にする」がゆえに、東ティモールの指導者は、敵を捕虜にしても残酷な仕打ちはしなかった!。一方私の脳裏に未だ残っている、朴槿恵氏が大統領時代に発したとされる報道「千年経ても恨みは消せない・・・」。支持者を糾合する手段としてのプロパガンダであるにせよ、余りにも対照的なので驚いてしまいました。では。
  • 山野隆康
  • 2018/03/14 4:48 AM
山野さま
その節は映画にご一緒いただき、ありがとうございました(^^)

朴元大統領の過激な発言についてはコメントしにくいところではありますが、私も日本人の歴史認識はたしかに自分たちに甘すぎると考えています。
ただ、人をゆるす能力の高い人ほど幸せな人生を送れているように思いますので、自分もそうあろうと心がけています。
  • 松本
  • 2018/03/14 10:13 AM
コメントする








    
この記事のトラックバックURL
トラックバック

calendar

S M T W T F S
    123
45678910
11121314151617
18192021222324
252627282930 
<< November 2018 >>

selected entries

categories

archives

recent comment

links

profile

search this site.

others

mobile

qrcode

powered

無料ブログ作成サービス JUGEM