ハクソー・リッジ(ネタバレなし。たぶん)

  • 2017.06.28 Wednesday
  • 11:27

 

日曜日は雨の予報でしたので、前夜から映画を観に行こうと決めていました。 候補は自転車仲間のシゲさんにおしえてもらったソウルミュージックのドキュメンタリー映画 「約束の地、メンフィス」 か、ソ連に侵略される前後のポーランドの画家の全体主義に対する抵抗を描いた映画 「残像」、あとは封切りになったばかりの 「ハクソー・リッジ」。 折しも前々日が沖縄の慰霊の日であったことと、散歩圏内の映画館が開館13年記念で1000円鑑賞日だったことが決め手となり、朝イチで 「ハクソー・リッジ」 を観て来ました。

 

おおよそのストーリーはテレビのCMなどでご覧になったその通りで、第二次世界大戦時、銃を持たないと誓った青年がそれでも衛生兵として志願し、沖縄戦の激戦地のひとつである前田高地において日本兵を含む75人をひとりで救出したという実話です。

 

少年時代の彼を紹介するシーンでは、いわゆる天然キャラであることが強調されています。 偉人でもスポーツ選手でも、ふつうの人が出来ないようなことを成し遂げる人は、やっぱりちょっと特殊な物差しで生きている人が多い気がしますよね(^^;

 

宗教上の理由と幼い頃のトラウマから銃に触れないという誓いを立てた彼ですが、祖国の危機に居ても立ってもいられず、衛生兵としてなら貢献できるはずと志願します。 しかし衛生兵とはいえ銃の訓練は必須。 戦時中の軍隊の中で規律に反する個人の信念を貫き通すことは容易ではなかったことでしょう。 

 

そして彼は沖縄へ。 リアルすぎると話題の戦闘シーンは、まさしく息もできないくらいの緊張感で、たちまち客席から現場に放り込まれました。 タメを効かせた恐怖ではなく、何というか恐怖を感じる余裕もなく一気に圧倒的な力に吞み込まれる感じ。 生き延びれるイメージがまったく持てなくて頭の中がまっ白になりました。

 

そんな前田高地における文字通りの白兵戦の中、高地から自軍の拠点がある断崖の下まで、立木を滑車にしてロープたったひとりで負傷兵を下ろし続けた彼。

 

敬虔なクリスチャンである監督のメル・ギブソンはインタビューで 「彼が行ったことは超自然的で、彼はその働きをただ信仰を通して行ったのです。ドス氏はただ信仰によって武装したのです」 と話しています。

 

たしかにドス氏の行いは超人的で賞賛に値するものではありますが、常人には不可能とも思われる行いの根源が信仰となるとちょっとコワい気も(^^;

歴史的には宗教的な信念が悲惨な戦争を生んできたことも事実ですし、そこはちょっと複雑かなー。

 

とは言え結論としては、観てよかったです。 この映画は戦争について考えるというよりも個人の生き方がテーマになっているように感じました。 あと沖縄の人々のたいへんさはまったく描かれていません。いろいろ盛り込むととっ散らかっちゃいますもんね。 

この映画で私がつい泣けてしまったのはクライマックスではなく、志願前の故郷において形質をもつと思われる主人公を愛し、適応をサポートする家族や恋人の温かさでした。天然仲間としては沁みるんですよね〜(*^_^*)

 

 

私は、死や戦争など忌まわしいことを遠ざけて過ごすのではなく、いつでも起こりえるものとして心の準備をしておきたいクチ。 いま、リアリティのある戦場のシーンを再現できるコンテンツは映画だけだと思います。 文字情報を前頭葉で処理するよりも映像で見て扁桃体をぐりぐり刺激して、戦争の恐怖をたっぷり刷り込んでおくことで「戦争ダメ」の感覚が強化される気がします。

 

上映前に客席を見渡すと半分以上の席が埋まっていました。そしてその半分ちかくが〇ゲ頭(≧▽≦)  朝早いせいもあるのでしょうけど、やはりご自身が出征されたり、私と同じで復員した親戚のおじさんたちの話を聞かされた世代がほとんどだったのではないかと思います。 出口で一緒になった80代後半と思しきご夫婦に感想を聞いてみました。「う〜ん、やっぱり何があっても戦争はぜったいダメだよね」 とのこと。 同感です。

こういう映画は若い人にこそ見てほしいと思いました。

 

Hacksaw-Ridge-790x445.jpg

 

 

 

 

 

 

 

 

コメント
「ハクソー・リッジ」のお話。「戦争の悲惨さ」の鼓吹よりは、「個人の生き方」をより深める方向に観客が惹かれていく感じ、の映画であった由。私は最初、いつか読んだことのある「良心的兵役拒否」の制度に関わるお話かな?と思っていました。では。
  • 山野隆康
  • 2017/06/29 7:43 AM
山野さま
たしかに彼は銃の訓練を拒否したことで良心的兵役拒否者の扱いを受けます。 しかしそれは「戦争には行きたいけど銃を持ちたくない人」に対する取扱いの前例がなかったためであり、実際には兵役についています。
彼は戦場での貢献で名声を得ましたが、一般的な良心的兵役拒否者はご存知のように母国において差別や迫害を受けたようですね。
観客は鉄の意志で「個人の生き方」を貫く彼ではなく、一瞬で命を落とす兵士たちに同化して映画を観ていたのではないかと思います。
  • 松本
  • 2017/06/29 9:31 AM
コメントする








    
この記事のトラックバックURL
トラックバック

calendar

S M T W T F S
1234567
891011121314
15161718192021
22232425262728
293031    
<< October 2017 >>

selected entries

categories

archives

recent comment

links

profile

search this site.

others

mobile

qrcode

powered

無料ブログ作成サービス JUGEM