念願だった ”わらじ” 作り
- 2022.11.02 Wednesday
- 16:24
40年ほど前、私が中学生だった頃のこと、実家の田んぼ脇には農機具用の納屋がありました。
たまにそこを通りかかると、明治生まれの祖父がゴツい指で黙々とわらじを作っているのを見かけることがあり、いつか作り方を教わりたいなと思っていました。
私の実家は海の近く。磯で釣りをしたり貝を獲ったりする際に、海藻がついて滑りやすい岩の上を歩くにはわらじが最適なのです。また、葬儀の際には仏さんの棺の中に死出の旅路用にわらじをいくつも入れたり、座敷から棺を担ぎ出す縁者もわらじを履いて下りていたように記憶しています。
しかし、ほどなく祖父は脳卒中で身体が思うように動かせなくなり、私の願いがかなうことはありませんでした。
その後もテレビの時代劇などでわらじを見かけるたび、納屋で両足の親指に縄をかけてわらじを作っていた祖父の姿を思い出していました。そして最近のこと、十日町市にわらじ作りを教えてくれる教室があることを知り、さっそくエントリーしてみました。
次男も一緒に行きたいと言うので、運転手を兼ねて同行してもらうことに。
わらじ作り教室は13:30開始なので、それまでは魚沼あたりで観光。西福寺開山堂は江戸末期の彫工、石川雲蝶の作。彼の名を世に知らしめることになった寺社彫刻の数々は、たしかに圧巻でした。残念ながらお堂の内部は撮影禁止ですので木鼻の写真だけ撮って、天井彫刻の写真は魚沼市の観光協会から拝借しました。
六日町から十日町へ抜ける八箇峠。ここから塩沢石打方面へ、山の中腹を走る魚沼スカイラインは紅葉の名所とのこと。時間がゆるすだけドライブして来ました。紅葉のピークには1週間ほど早かったようですが、標高の高い山肌はもう見事に色づいていました。
スカイラインの展望台でコーヒーを一服。
お昼前には十日町に到着。十日町といえば食事はもちろんへぎそば。「直志庵 さがの」さんは評判通り美味しかったです。
そしていよいよお教室が始まりました。
ブレブレ写真。
次男の自撮り。
レンタカーの返却時間が気になって、本来の終了時間より少し早く失礼させて頂いたので、裏側から出ているモシャモシャは未処理。次男のわらじはまだ片方鼻緒がついていません。帰宅してからちゃんと仕上げます。
今回、しっかり作り方を教わりましたので、こんどは鼻緒も自分でなった縄を使い、仕上がりにこだわってもう一足作ってみようと思います。
やっと40年来の念願が叶いました。慣れない姿勢で作業に集中しましたので、終わったあとは抜け殻のよう。いやぁ、充実した時間でした。
わらじ作りの先生は地元で農家を営むH坂さん(82才)。
おだやかな声で、地元の風土のことやご自身の子ども時代のお話なども織り交ぜながら、制作の手順をきめ細かく教えてくださいました。
次男はすっかり彼の人柄のファンになってしまったようです。一緒に過ごすだけで人を幸せな気分にさせる人でした。あこがれます。
さすがは”行楽の秋”の日曜日、帰りの関越道はしっかり渋滞しており、けっきょくレンタカーの返却時間には間に合わず、翌朝返しに行きました(^^;
(今回の写真のほとんどは、次男から拝借しました)